銅鍋の料理がおいしい理由
鉄やステンレス、シルバーストーンのお鍋ではガスコンロの火の当たる部分だけに熱が蓄えられてゆくため、焼きムラがおこりやすくなります。しかし、熱伝導率が極端に高い銅の場合、コンロの熱がすぐに全体に行き渡るため、鍋全体の熱量が均一になります。
このため、焼きムラや焦げつきを防ぐことができるのです。
火の通りが非常にムラなく進むため、焼き物の場合、玉子はふんわりと仕上がり、肉は肉汁を逃がさず焼き上げることができます。
煮物の場合も、熱の循環が均一になって対流するため、片煮えや焦げ付きもなくなるのです。
中村銅器製作所訪問
使い捨て感覚で買い換えることになってしまう安い鍋ではなく、一生ものの道具にめぐり逢いたいと探していたところ中村銅器製作所さんの銅鍋に出会いました。
玉子料理に「銅」の鍋が良いことを聞いたことがある方は多いでしょう。
職人さんが好んで使っているという本物の銅器の制作現場を訪ねました。
場所は東京都足立区、東武鉄道伊勢崎線の「梅島」という駅から15分ほど歩いた場所にありました。
中村銅器製作所は、創業80年を迎える老舗の工房です。
創業時は、道具作りの町 河童橋の近くだったそうですが
関東大震災で被災し、こちらへ引っ越したそうです。
現在は高級調理道具店に卸し、全国の百貨店などで販売されています。
三代目の中村恵一さんに話を伺いました。
なぜ玉子料理に銅鍋が良いのでしょうか?
銅は熱伝導が非常によいため、一か所に熱が留まらないのです。
焼きムラがおきづらいだけでなく、銅板に蓄熱された熱で玉子を調理するため
フワッとした玉子料理が作られると言われています。
また「味がまろやかになるから」という理由で銅の鍋を選ぶ職人さんもいますね。
銅鍋の取扱について注意点はありますか?
慣れてしまえば大変なことはないと思います。
ただ玉子焼き鍋の場合は、油が切れないように、洗ったあと、油を馴染ませておく必要があります。
使用すればするほど鍋の状態が良くなり、程度のよい鍋になります。
洗剤で洗うと油分がとれてしますので、そこが注意点です。
木の乾燥で柄が緩んで来る場合がありますが、柄を後から叩いて頂ければよいです。
作る上でのこだわりを伺えますか?
錫引きの工程を焼き付けでやっていることです。
以前、銅鍋が良いと言われ各社銅鍋の製品を作り始めました。
でも大量生産、コスト削減、技術力の無さなどで「錫メッキ」を使用していました。同じ銅製品なので職人さんたちは、いくらかでもコストの安い商品に走ってしまいました。けれど使用して、やはりメッキはすぐにはげてしまったそうです。
結局、錫焼き付けをしている本物の銅鍋が、職人さんに愛用され続けています。
中村銅器では錫引き(焼き付け)には自信を持っています。
メッキはやらず未だに錫は焼き付けにこだわっています。
また、中村銅器では銅板厚さも特徴の一つ。
熱伝導の良い銅が厚みをもたすことで保温性が良くなる。
薄いと焦げやすいのです。
お客様にメッセージをお願いします。
前に割烹料理店 店主さんよりこのような話を聞いたことがあります。
「家庭の奥さまたちも毎日料理をしているので、プロと同じです。
それならばプロの使用している道具を使った方良いのでは・・」と
安いフッ素加工のアルミ製やメッキ製などを何度も買い換えるのでしたら、
良いものを一度だけ買って一生ものにされた方が良いと思います。
これからもみなさんに愛用していただける製品を作っていきたいと思います。
■製品特長
銅は優れた熱伝導性と保温性があり、料理道具に非常に適しています。
内側の面は純錫で焼きつけされております。
ご使用後は、洗剤を使わずスポンジなどで水洗いし、油を馴染ませて保管して下さい。
使い込むほど味わい深い、表情豊かな色合いに変化していきます。
一生ものの道具として大切にご使用ください。
■仕様
素材:銅、純錫、木柄(国産の間伐材)